±0.01や±0.05など、寸法精度の高い樹脂切削加工の部品を製作する時に選定されるのが、PEEKやPPSなどのスーパーエンジニアリングプラスチックです。寸法精度を出す場合に必要なことは素材自体が安定していることや線膨張率の低い素材を選定することです。そう言った意味ではスーパーエンジニアリングプラスチックを選定することは必然の様ですが、どうしても価格が高額になることが樹脂切削加工の部品を製作する場合にネックになってしまいます。
一方で汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックの中にもガラス繊維やカーボンファイバーなどの充填剤を混ぜて寸法安定性を高めている素材もありますが、反りや歪が出る可能性があります。またコストも通常のものより高くなってしまいます。
実は、上記の様な素材以外で、一般的な素材で高い寸法精度を出せるものがあるのです。汎用プラスチックではPVC(塩ビ)やアクリル、エンジニアリングプラスチックではPET(ペット)などです。この3つの素材は分子も安定していて素材も硬く、しかも線膨張率もPVC・アクリルが共に7、PETは6と、線膨張率が5のPEEKやPPSと遜色がないので精度や寸法安定性は同等の加工が可能です。
しかし、耐熱温度や耐薬品性など一部の物性はスーパーエンジニアリングプラスチックにどうしても劣ってしまいますが、その様な制約がない場合には、低コストで精度が高く寸法の安定した樹脂切削加工の部品をお望みであれば是非お試しいただければと思います。