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プラスチック博士のブログ

PPSがPEEKよりも優れている理由とは?

耐熱性・耐薬品性等が求められる場合、PEEKを選定する必要があると思っていませんか。PEEKの代替品として使用することができるPPSをご存知でしょうか。「PPSなんてPEEKより劣る素材でしょ。」なんて考えている方もいるかと思います。しかし、PPSはPEEKより優れている点がたくさんあります。そこで、今回はPEEKと比較しながら、PPSが優れている理由をご紹介します。

※ちなみに、三菱ケミカル・東レプラスチック・ロシュリング・三ツ星・クレハエクストロン・エンジンガー等、様々なメーカーがPPSを取り扱っています。

 

PPSの利点

1.材料費が安い

一般的にあまり知られていませんが、PPSの材料費は非常に安くPEEKの約半額となります。加工条件や製品用途によっては、PEEKではなくPPSを使用することでコストダウンを実現することが可能です。

 

2.吸水率が低い

基本的に樹脂素材は吸水率が高く、寸法変化が起こりやすい素材です。そんな樹脂素材の中でもPEEKの吸水率は約0.05%と非常に低いです。しかし、PPSの吸水率は約0.03%とPEEKよりさらに低いのです。つまり、PPSはPEEKよりも吸水・吸湿による寸法変化が起きづらく、扱いやすい素材であるといえます。

 

3.線膨張率が低い

各メーカーにより細かな違いはありますが、一般的にPPSはPEEKより線膨張率が低いです。数値で表すと、PPSの線膨張率は、2.5×10⁻⁵/℃であるのに対してPEEKの線膨張率は、5×10⁻⁵/℃となります。つまり、PPSの方がより温度による寸法変化が起きづらい素材であるといえます。(ちなみに、三菱ケミカル、エンジンガーではPEEKとPPSは同等の熱膨張率であり、東レプラスチック・クレハエクストロン・三ツ星ではPEEKよりPPSの方が熱膨張率が低いです。)

 

4.耐薬品性が高い

PPSは耐薬品性が非常に高く、ほぼ全ての酸・アルカリへの耐性を持った素材です。さらに、200℃以下でPPSを溶かすことができる溶剤は存在しません。つまり、PEEKと同様にPPSも薬品が使用される環境下に適した素材であるといえます。

 

5.耐候性が高い

PPSは、PEEKよりも耐候性が高い素材です。そのため、PPSは太陽光や温度、湿度の変化や風雨等の気候の影響により寸法等の変化が起きにくく、あらゆる環境下での使用に適した素材となります。

 

上記の利点をご覧いただければ、PPSがPEEKより優れていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。しかし、もちろんそんなPPSにも欠点があります。PEEKの代替品としてPPSを選定する際には下記2点に注意する必要があります。

 

PPSの欠点

1.割れやすい、欠けやすい

PPSの欠点としては強度が挙げられます。PPSはPEEKよりも引張強度・曲げ強度・衝撃強さが劣っているため、割れやすく欠けやすいといった特徴があります。そのため、強度が求められる場合にはPPSではなく、PEEKを使用することを推奨します。

 

2.連続使用温度

2つ目の欠点は連続使用温度です。連続使用温度は、PPSが220℃に対しPEEKが250℃となります。この数値からわかる通りPPSがPEEKより少し低いですが、大きな違いはありません。ただ、220℃~250℃の環境下での使用が考えられる場合にはPPSではなく、PEEKが最適だといえます。

 

※ちなみに、PPSとPEEKの硬さ電気的特性はほぼ同等です。

 

いかがでしたでしょうか。前述したPPSの欠点さえ踏まえておけば、PEEKをPPSに置き換えることで大幅にコストダウンを実現することができます。もちろん、メーカーにより細かな数値にはばらつきがありますので、樹脂素材の選定にお困りの際は、プラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンまでお気軽にご相談ください。お客様のご要望に沿った最適な樹脂素材をご提案いたします。

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