<MCナイロンとは>
MCナイロン(モノマーキャストナイロン)は、皆様がよ~くご存知のエンジニアリングプラスチックの代表格である、あの青色の樹脂です。このひときわ目立つ青い樹脂は、装置に組み込まれても独特の色なので、一目見ただけでMCナイロンだ!と気づくことが出来るほど一般的になっています。また、エンジニアリングプラスチックと言えばMCナイロンと思われている方も多いと思いますが、MCナイロン(モノマーキャストナイロン)は汎用プラスチックに属する6ナイロンや66ナイロンと同じナイロン樹脂(ポリアミド系)の仲間で、それらの弱点をカバーしグレードアップさせたエンジニアリングプラスチックなのです。
実はワシもMCナイロンで出来ておるのじゃ
MCナイロン(モノマーキャストナイロン)は、6ナイロンや66ナイロンに比べ、機械的強度や熱的特性、化学的性質、耐摩耗性を向上させていますので、現在もあらゆる業種や分野で使用される、最もポピュラーなプラスチック素材となっています。MCナイロン(モノマーキャストナイロン)の一番の特徴は、他の汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックより機械的強度があることです。先程紹介した6ナイロン・66ナイロンや同じ汎用プラスチックのPP(ポリプロピレン)・PE(ポリエチレン)・ABS、またエンジニアリングプラスチックのPOM(ポリアセタール)やPET・超高分子量ポリエチレンなどそれぞれの特徴はありますが、機械的強度に関してはMCナイロン(モノマーキャストナイロン)が一番優れていると言えます。
<MCナイロンの欠点>
ただ、そんなMCナイロン(モノマーキャストナイロン)にも一つだけ欠点があります。それは、吸水率が他の樹脂に比べ高いということです。6ナイロンや66ナイロンよりは低いのですが、MCナイロンの吸水率はPOMの3倍です。ちなみに超高分子量ポリエチレンやPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)はほぼ吸水をしません。つまり、MCナイロン(モノマーキャストナイロン)は、水がかかったり水気の多い環境や屋外での使用は避けるべきです(ちなみに保管にも気を付ける必要があります)。
ただし、屋外での使用に考慮した耐候性グレードのMCナイロンもありますので、ご使用状況などお知らせ頂ければ『プラスチック切削加工.com』でベストな素材を選定させて頂きますので、お気軽にご連絡ください。
<あの樹脂は、なぜこんなに青いのか?>
それからもう一つの特徴。そ~です。その色です。なぜ青いのか、皆さん一度くらいは考えたことはありませんか?なぜ不自然に青いのか?もしかして良くない物質が含まれているからそうなっているのか・・・
実はMCナイロンの色は、元々6ナイロンや66ナイロンと同じようなアイボリー色だそうで、なんと、わざわざ色粉を入れて青く着色をしているそうです。ではなぜ青色なのか・・・それは『目立たせたかった』説。当時、樹脂と言えば白色や黒色や茶色しかなかったそうで、青色にして目立たせて知名度を上げる作戦だったようです。その作戦通りに青いナイロン樹脂と言う最もポピュラーな存在になりました。実際、数年前までは青い樹脂はMCナイロンしかありませんでした。現在は混入防止で識別出来るようにと、超高分子量ポリエチレンやPE(ポリエチレン)などに青色の素材があります。また別の説では、白色だと汚れが目立ってしまうからと言うものもあります。あと、海外にもMCナイロン(海外ではキャストナイロンと言う)はあるのですが、青色は日本にしかないそうで、ジャパンブルーなどと呼ばれることもあるそうです。確かに海外メーカーのカタログを見ると白や黄や緑しかなく、青はやっぱり掲載されておりませんでした。
プラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンでは、樹脂切削に関する有益な情報発信を行っていますが、こうした都市伝説的な!?お話もできる限りお伝えしていきたいと考えております。「そういや、青って不自然だと思ってたけど、なるほど~ そういうことだったのか!」とちょっとでも思って頂けたなら、とても嬉しいです。