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プラスチック博士のブログ

反りを抑制した高品質な樹脂切削加工品を入手するためのポイント

樹脂の切削加工品において、避けては通れない問題が加工時に発生する反りである。この反りにより、「設計通りの寸法に収まった加工品が入手できない…」なんて事態に直面したこともあるのではないだろうか。この問題を解決するためには、当然のことながら豊富な樹脂切削加工ノウハウを持った加工業者に依頼することが重要だといえる。

しかしながら、実際には加工時の対策だけでは、この問題を根本的に解決することは難しい。では、どうすればよいのじゃろうか。そのポイントは、材質選定にあるのじゃ。今回は、この反りを抑制し、高品質な樹脂切削加工品を入手するためのポイントを詳しくご紹介したいと思う。是非最後まで確認してくれ!(byプラスチック博士)

樹脂は材質の特性上、加工時に加わる熱の影響で膨張し、その後時間をかけて収縮するといった特性があります。収縮時には従来の体積よりも小さくなってしまうため、材料内部からその収縮に反発する「残留応力」と呼ばれる力が発生します。この残留応力が、その樹脂材料が持つ、本来の形状を保つ力よりも強くなってしまうと、反りという形になって現れるのです。

この反りが発生すると、”狙った寸法精度を実現できない””外観品質が低下する””篏合する相手部品と干渉してしまう”など様々な問題につながる恐れがあります。当記事では、そんな樹脂切削加工品の大きな問題の1つである「反りを抑制するためのポイント」について詳しく解説します。

 

反りが発生しやすい樹脂材料

樹脂材料と一口にいっても、”汎用プラスチック”、”エンジニアリングプラスチック”、”スーパーエンジニアリングプラスチック”、”強化プラスチック”など大きく分類しても様々な種類があります。そこで、まずは特に反りが発生しやすい樹脂材料をご紹介します。

・MCナイロン
・6ナイロン、66ナイロン
・POM
・PE(ポリエチレン)
・超高分子量ポリエチレン
・PP
・充填剤入り樹脂材料(ガラス入り、カーボン入り 等)

などが挙げられます。これらの樹脂材料では、特に反りの発生を考慮して加工を行うことが求められます。

 

加工による対策

では、本題である反りを抑制するためには、どのような対策をとればよいのでしょうか。下記にて詳しくご紹介します。

対策①:厚い材料から切削加工を行う

例えば、求める製品の板厚が10mmであると仮定します。そこで、厚さ10mmのプレート材料を用意し、ポケット加工を行うと、当然反りが発生しますが、削り代に余裕がないため、その後の加工で対策を行うことができません。

ここで、余分に厚く(例:厚さ15mm)しておけば、反りが発生したとしても、追加工を行いその反りを解消することが可能です。つまり、余分な削り代を設けておけば、発生した反りを抑制するような加工ができるのです。

しかしながら、この方法ではどうしても、本来必要な厚みよりも大きな材料を用意する必要がある上、加工工程が多岐に渡るので、材料費・加工費の増大につながります。

対策②:材料へアニール処理を施す

アニール処理とは、熱風乾燥機や電気炉にて材料へ熱を加え、また温度を常温まで下げることによって、材料の残留応力を抑制する処理を指します。アニール処理を行い残留応力を抑制することで、切削加工時の反りの発生を防止することができ、寸法や形状の安定化につながります。ただし、残留応力を弱める処理であるため、彫り込み加工などを行うと残留応力が働き、やはり反りが発生してしまいます。

 

このように、加工時にも反りの発生を抑制する方法はありますが、いずれも根本的な対策とはいえません。そのため、加工時の対策のみならず、設計段階から反りを考慮した対策が必要となります。

 

設計(材質選定)による対策

対策①:反りが発生しづらい材質を選定する

もちろん、加工時の対策も重要ですが、反りを抑制するための根本的な対策としては、冒頭でご紹介した反りが発生しやすい材質から、反りが発生しづらい材質へ変更することが最も効果的です。では、具体的に反りを抑制するためには、どのような樹脂材料を選定すべきなのか、対応する樹脂分類を踏まえて、下記にてご紹介します。

・汎用樹脂系なら:アクリル、塩ビ
・エンプラ系なら:PET、ユニレート
・スーパーエンプラ系なら:PEEK、PPS

(※ただし、この中でもPEEK・PPSは材料費が高いため、コストアップに注意が必要です。)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、反りを抑制した高品質な樹脂切削加工品を入手するためのポイントを詳しくご紹介しました。上述の通り、加工時の対策も非常に重要ですが、根本的な対策とはいえません。そのため、材質選定による対策が最も効果的です。当記事のご覧の皆様の中に、「反りの抑制を考慮して、代替となる樹脂を探しているが、どれが最適か分からない……」という方がいらっしゃいましたら、プラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンまでお気軽にご相談ください。お客様のご要望に沿った最適な樹脂材料をご提案いたします。

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