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プラスチック博士のブログ

導電性MCナイロン、導電性ユニレートの代替となる導電性ベークライトとは?

昨今の樹脂材料の入手難には多くの方が悩まれているのではないでしょうか。
樹脂材料不足の主な要因は、2020年末より電子機器の需要が増えたことや、新型コロナウイルス・天災により化学メーカーの樹脂製造ラインが停滞したことなどが挙げられます。実際にプラスチック切削加工.comにも「MCナイロンやユニレートの在庫はありませんか?」といったお問い合わせを頻繁に頂いております。このような緊急事態の時こそ、既製品で使用していた材質の代替となる材質を選定することが重要となります。そこで今回は、”導電性MCナイロン”、”導電性ユニレート”の代替となる”導電性ベークライト”についてご紹介いたします。

 

導電性MCナイロン・導電性ユニレートとは?

まず、導電性MCナイロン、導電性ユニレートとはどんな素材なのか改めて確認してみましょう。

導電性MCナイロン

導電性MCナイロンとは、機械的強度や熱的特性、化学的性質、耐摩耗性が非常に高く、あらゆる業種や分野で使用されるMCナイロンの導電グレードとなります。MCナイロンの一番の特徴は、機械的強度が優れている点です。例えば、6ナイロン・66ナイロンや同じ汎用プラスチックのPP・PE・ABS、またエンジニアリングプラスチックのPOM・PET・超高分子量ポリエチレン等と比較しても機械的強度は最も高いです。ただ、導電性MCナイロンはMCナイロンと比較すると、引張強度は劣る傾向があります。

 

導電性ユニレート

導電性ユニレートとは、機械的強度や熱的特性、電気特性が非常高いユニレートの導電グレードとなります。ユニレートの一番の特長は、寸法安定性と加工性が優れている点です。切削加工におけるMCナイロンの寸法公差は±0.05程度ですが、ユニレートは寸法安定性が非常に高く、±0.01~0.02程度となります。そのため、高精度な寸法公差を求められる場合に選定すべき樹脂材料といえます。ただ、MCナイロンとは違い、ユニレートは通常グレードよりも導電グレードの方が機械的強度が高くなる傾向があります。

 

MCナイロン、ユニレートの特長をお分かりいただけましたでしょうか。
次に、導電性MCナイロンと導電性ユニレートの代替となる導電性ベークライトについてご紹介します。

 

導電性ベークライトはコストも寸法安定性も優れた材質!

導電性ベークライトとは、エンジニアリングプラスチックの1種で、紙を基材としたフェノール樹脂素材ベークライトの導電グレードです。導電性ベークライトは機械的強度や熱的特性、寸法安定性が高く、主に電子部品、電装部品、自動車等に使用されています。また、導電性ベークライトは導電性MCナイロンと同等の機械的強度、導電性ユニレートと同等の高い加工性を併せ持っています。そのため、導電性MCナイロン、導電性ユニレートの代替として使用することが可能な材質となります。さらに、導電性ベークライトの方がより優れている点もあります。

※下記にて導電性MCナイロン、導電性ユニレ―トとの比較をしながら、導電性ベークライトの利点をご紹介します。

 

導電性ベークライトの利点

1.安定供給が可能

上述した通り、昨今の樹脂材料の入手難が深刻化しているため、導電性MCナイロン、導電性ユニレートの調達に時間がかかる場合があります。しかし、これらの材料と違い、導電性ベークライトは安定供給が可能な材料となります。

 

2.コストが安い

導電性ユニレートと比較すると、導電性ベークライトはコストが約1/3と非常に安価です。加工条件や製品用途によっては、導電性ユニレートではなく、導電性ベークライトを選定することにより、コストダウンを図ることが可能です。

 

3.サイズ・厚みのバリュエーションが豊富

一般的に、導電性MCナイロン、導電性ユニレートと比較すると、導電性ベークライトは、サイズ・厚みともにバリュエーションが豊富です。そのため、製品に応じたサイズ・厚みを選択することが可能であり、無駄な材料費の削減を実現することができます。もちろん、各メーカーにより取り揃えているサイズの種類は異なりますので、注意が必要です。

 

4.寸法安定性が高い

導電性MCナイロンと比較すると、導電性のベークライトは寸法安定性が非常に高いです。導電性MCナイロンの吸水率が約0.5%に対して、導電性ベークライトの吸水率は約0.2%となります。(ちなみに、導電性ユニレートの吸水率は約0.01%となり、最も寸法安定性が高い樹脂素材となります。)なお、導電性ベークライトの耐熱温度は約130℃となっており、MCナイロンやユニレートの耐熱温度約120℃よりも少し高い傾向があります。

 

5.加工性が高い

導電性MCナイロン、導電性ユニレ―トは加工性が非常に高い素材です。導電性ベークライトは、これらの素材と同様に精度の高い切削加工を行うことが可能です。さらに、加工端面の修正後精度も非常に高く、綺麗な仕上げ加工を行うことができます。

 

今回の内容は参考になりましたでしょうか。導電性MCナイロン、導電性ユニレートが手に入らず、お困りの方は、導電性ベークライトの採用を検討してみてはいかがでしょうか。もちろん、加工条件、製品用途により、最適な材質は異なりますので、樹脂素材の選定にお困りの際は、プラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンまでお気軽にご相談ください。お客様のご要望に沿った最適な樹脂素材をご提案いたします。

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