ご存知の通り、昨今、半導体不足と同様に、ものづくりの現場に深刻な影響を及ぼしているのが樹脂材料不足じゃ。実際に、あらゆる企業で特定の樹脂材料が手に入らず、生産遅延を余儀なくされている。一体、この樹脂材料不足はいつまで続くんじゃろうな。このような樹脂材料の入手が難しい状況下でこそ、代替品を上手に活用することが求められる!そこで、今回は現在(2022年10月)入手が困難となっている”べスペル”の代替となる最適な材質について紹介するぞ。(by プラスチック博士)
現在、樹脂材料の中でも特にべスペルの入手が困難となっております。さらに、入手難が解消される時期の目処も立っていないため、べスペルの使用を検討している方は、代替となる樹脂材料への置き換えが必須となります。そこで、今回はべスペルが入手できず困っている方に向け、代替となる”最適な材質”をご紹介します。
べスペルとは?
まずは、改めてべスペルとはどのような樹脂材料であるか確認してみましょう。
べスペルとは、デュポン社が開発したポリイミド樹脂(PI)の1種を指します。べスペルの特徴は、優れた耐熱性(耐熱温度:290℃程度)、機械的強度、耐摩耗性が挙げられます。さらに、加工性、寸法安定性が非常に良好であるため、厳しい要求精度にも対応することが可能です。一方で、べスペルは、吸水性が低いとはいえず、厳しい環境下では影響が出る可能性があります。また、価格も非常に高価となります。このべスペルは、産業機器、半導体、航空宇宙まで、幅広い業界で使用されています。
べスペルの代替となる”最適な材質”とは?
このべスペルの代替として最適な材質は、ズバリ、PBIアドバンスドマテリアルズ製のポリイミド樹脂の1種であるSCM8000です。まずは、べスペルとSCM8000の特徴を下図にて比較します。是非、ご参考ください。
上図の通り、SCM8000は、べスペルよりも優れた耐熱性(耐熱温度:480℃)、引張強度、曲げ強度を持つ樹脂材料になります。特に、耐熱性は、樹脂材料の中でも最高レベルを誇ります。さらに、SCM8000は、べスペルより吸水性が低く、PEEKと同等です。一方で、SCM8000の価格はべスペルと同様、高価な部類に入ります。
つまり、べスペルの代替として、このSCM8000を選定することで、べスペルと同等、もしくはそれ以上の機能を期待することができます。ただし、べスペルの素材形状は板、丸棒の2種類があることに対し、SCM8000の素材形状は板のみの1種類になりますので、注意が必要です。(※板形状を削ることで丸棒を作ることが可能です。)
まとめ
いかがでしたでしょうか。べスペルを入手できずお困りの方は、是非、SCM8000の活用を検討してみてください。もちろん、加工条件、製品用途により、最適な材質は異なりますので、樹脂素材の選定にお困りの際は、プラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンまでお気軽にご相談ください。お客様のご要望に沿った最適な樹脂素材をご提案いたします。