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近年、軽量化や機能向上を目的とし、金属部品を樹脂化する動きが活発である。実際に、当社にも「現行の金属部品を樹脂化したいので、アドバイスが欲しい…」などといったご相談をよくいただいている。ただし、金属と樹脂は全く異なる特性を持った素材であるため、置き換える際には部品設計から見直す必要があるぞ!そこで、今回は金属部品を樹脂化する際に押さえておくべき設計上の注意点をご紹介したいと思う!是非、最後まで確認してくれ!(byプラスチック博士)
樹脂と金属にはそれぞれ全く異なる特性があるため、用途によっては、優れた機械的性質を持つ金属よりも樹脂が最適な場合もよくあります。特に、近年ではエンジニアリングプラスチックの開発・普及が進んだことで、金属と同レベルの機械的性質を持つ樹脂材料も登場しています。これにより、金属部品の樹脂化の動きがどんどんと活発になっているのです。当記事では、金属部品を樹脂化する際に押さえておく設計上の注意点 をご紹介します。
金属部品を樹脂化するメリットは、たくさんある!
まず本題に入る前に金属部品を樹脂化するメリットについて考えてみましょう。簡単に代表的なメリットをご紹介します。
・軽量化
・防錆性
・耐薬品性
・静音性
・摺動性
・絶縁性
・無給油
・塗装レス
などなどその他にも様々なメリットがあります。これらの幅広いメリットを享受できるといった理由から、金属部品の樹脂化が活発に進んでいるのです。
金属部品を樹脂化する際に押さえておくべき設計上の注意点
ただし、金属と樹脂は全く異なる特性を持つ素材であるため、従来の設計のまま金属部品を樹脂化すると「製品として成り立たない…」なんて事態にも陥りかねません。そのため、金属部品の樹脂化にあたっては設計上、注意すべき点が多々あります。その中でも特に注意すべき2つの注意点をご紹介します。
〇金属と樹脂では実現できる寸法精度が異なる!
樹脂化にあたり設計上、最も注意すべき点は寸法精度です。
金属と異なり、樹脂は柔らかく、線膨張率が高く、吸湿性が高い 素材です。この特性から細心の注意を払い加工を行ったとしても、実現できる寸法精度には限度があります。(樹脂へ高精度な加工を施すと、±0.01程度まで対応することができますが、例えばMCナイロンで手のひらサイズであると、一般的には±0.05mm程です。)この実現できる寸法精度をしっかりと押さえたうえで設計を行うことが非常に重要です。
なお、ベアリングを挿入するローラー部品(樹脂)の場合、金属部品での寸法公差の設定よりもマイナスに設定しておかないと、ベアリングがグラグラになったり、すっぽり抜けてしまうなどの事象が発生する恐れがあるので、注意が必要です。
〇樹脂材料のサイズには制約がある!
また、もう1つの注意すべき点は材料サイズです。
金属と樹脂では、材料のサイズに大きな違いがあります。例えば、金属では□3000mmを超えるような材料も市場に出回っており、容易に入手することが可能です。一方、樹脂素材はサイズに制約があり、大きなサイズの材料は入手がしづらい、もしくは、存在しないという場合もあります。
具体的に、ある国内メーカーのMCナイロンの最大材料サイズは下記の通りとなります。
・角物:1,000×2,000mm t=50mm
・角物:600×600mm t=150mm
・丸物:φ250×1,000mm
このように、非常に幅広く用いられているMCナイロンですら大物サイズの制約があるのです。そのため、樹脂化を行うにあたっては、しっかりと製品を実現できるサイズの材料があるかを確認することが重要です。仮に、サイズがない場合には、2部品で構成するなど設計変更が必要となります。
金属部品の樹脂化に関するご相談はプラスチック切削加工.comまで!
以上、金属部品を樹脂化する際に押さえておくべき設計上の注意点についてお伝えしましたが、これら以外にも設計上の注意点は多々あります。プラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンでは、こうした金属の樹脂化に関する最適な形状・材質提案を行っています。「この形状で製品化できるか分からない…」「金属の代替となる最適な樹脂材料が分からない…」などのお困り事がございましたら、是非当社にご相談ください。これまで培ってきた樹脂材料ノウハウを基に、お客様のお困りごとを解決します。