プラスチック素材の選定で悩んだことはないじゃろうか。特に、どの素材が最適か判断がつかず、ついつい慣れた素材を選んでしまうこともあるかもしれぬ。その中でも、MCナイロンを毎回選んでしまうといったこともあるが、本当にそれが最適では無い場合もあるのじゃ。
実はコストの安いPOMには様々なグレードがあるため、用途によって条件を見極めればMCナイロンでなくても使用ができるのじゃ。
そこで今回は、エンジニアリングプラスチックの中でも特に広く使われる「MCナイロン」を「POM」で使用した場合の、それぞれの特性や用途、違いについて詳しくご紹介するぞ。
是非、最後まで確認してくれ!(byプラスチック博士)
1.MCナイロンとPOMの特性の違いとは?
多くのエンジニアや設計者が、慣れ親しんだMCナイロンを選びがちです。しかし、それが必ずしも最適な選択ではない場合があります。MCナイロンを選ぶ理由はその高い機械的強度と耐熱性にありますが、それ以外の特性も考慮することが重要です。例えば、吸水性や価格、寸法安定性などです。
以下にPOMとMCナイロンの主要な特性を比較しました。
特性 | MCナイロン | POM |
機械的 強度 | 〇 | △ |
耐熱性 | 120℃ | 90℃ |
食品衛生法 | △(煮沸しないとダメ) | 〇(煮沸の必要性なし) |
吸水性 | ✖ | 〇 |
価格 | △ | 〇 |
MCナイロンは高い機械的強度と耐熱性を持ち、重荷重がかかる環境や高温環境に適しています。一方、POMは吸水性が低く、寸法安定性が必要な用途に向いています。また、POMは食品衛生法に適合しているため、食品関連の用途にも適しています。
2.コストの安いPOMには様々なグレードがあります!
実は、コストが安くて多用途に使えるPOM(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)には、さまざまなグレードがあります。POMは、高強度・耐摩耗性・耐疲労性・寸法安定性に優れ、切削性も良いことから、機械要素部品を中心に幅広く使用されています。POMには、コポリマーとホモポリマーの2種類があり、それぞれの特性が異なるため、用途に応じて適切な方を選ぶことが重要です。
また、POMは使用条件をしっかりと見極めれば、非常に有用な素材です。例えば、POMは吸水性が低く寸法安定性が高いため、湿度や水分が多い環境での使用に適しています。また、食品衛生法に適合しているため、食品関連の用途にも安心して使用できます。MCナイロンのように高強度が求められる場面ではなく、適切な条件下であれば、POMは非常に信頼できる素材です。
以下は、主なPOMのグレードです。
①基本グレード
一般的な用途に使用される標準的なPOM。耐久性が高く、幅広い用途に対応するため、機械部品や工具などの製造に適しています。
②ハイパー(低歪みグレード)
低歪み特性を持ち、精密部品に適しています。精度が求められる部品や、長期間安定した性能が必要な場面で活躍します。
③導電グレード
導電性を持つため、静電気対策が必要な部品に適しています。電子機器や静電気が問題となる環境での使用に適しています。
④摺動グレード
摩擦が多い部品に適しており、摺動性が高いです。滑らかな動作が求められる機械部品や、摩耗が激しい環境での使用に最適です。
その他にも、食品衛生法適合の青色POMや、ガラス繊維で強化された高強度POMなど、多数のグレードがあります。青色POMは視認性が高く、食品工場などで異物混入を防ぐために使用されることが多いです。ガラス繊維強化POMは、さらに高い強度を求められる部品に使用され、長期間の耐久性が要求される場面で活躍します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、エンジニアリングプラスチックであるMCナイロンとPOMの特性や用途について詳しくご紹介しました。それぞれの素材には独自のメリットとデメリットがあり、使用環境や用途に応じて適切な選択が求められます。特に、吸水性や寸法安定性、機械的強度といった要素は、製品の性能や耐久性に大きく影響します。
もし、「製品の用途に最適な樹脂素材を選定する際に迷っている……」という方がいらっしゃいましたら、ぜひプラスチック切削加工.comを運営するケイプラビジョンまでお気軽にご相談ください。お客様のご要望に沿った最適な樹脂材料をご提案いたします。