半導体特需の裏で、一般部材にまで影響が
半導体業界は、AI需要の急拡大を背景に空前の活況を迎えています。喜ばしいニュースである一方、そのしわ寄せが「半導体とは直接関係のない」一般の装置メーカーの現場にも及んでいることをご存知でしょうか。
代表的なのがPTFE(テフロン)です。コロナ禍の混乱が明けても入手しづらい状態が続いており、加えて塩ビ・PP・POMといった汎用性の高い樹脂まで、半導体関連の需要に押される形で品薄・値上げ傾向が強まっています。
さらに象徴的なのが、装置の絶縁部材や治具として定番の「MCナイロン(青)」です。一般用として広く使われてきたこの材料が、メーカーサイドで品薄傾向にあります。
なぜPOM・塩ビ・MCナイロンまで入手しづらくなるのか?
「半導体が忙しいのは分かるが、なぜ汎用樹脂まで?」と疑問に思われる方も多いはずです。
背景にあるのは、半導体製造工程で使われる「導電性材料」への需要シフトです。MCナイロンをはじめとする樹脂メーカーの生産キャパシティは限られており、半導体向けの導電性グレードの生産が優先される中で、これまで一般用途に回っていた「青のMCナイロン」の供給枠が圧迫されているのが実情です。
値上げの動きにも変化が出ています。これまで値上げはおよそ3か月に1回のペースでしたが、現在はそのペースすら崩れており、次にいつメーカーから値上げの通知が来るのか予測が立たない状態です。テフロンについても一部メーカーでは、今年に入ってすでに2回の値上げがあり、いずれも半導体関連の需要増を理由としたものでした。
つまり、材料そのものが世の中から消えたわけではなく、限られた生産能力の奪い合いが起きているというのが正しい理解です。この構造が変わらない限り、値上げ・入手しづらさはしばらく続くと見ておくべきでしょう。
ナフサ・中東情勢という不安要素
半導体特需に加えて、樹脂材料はナフサの価格動向にも大きく左右されます。中東情勢は一時的に落ち着きを見せる場面があっても、依然として先行きが読みにくい状況です。
「半導体要因」と「原料要因」という2つの不安材料が重なっている今、材料調達をいつも通りのスケジュール感で進めるのは非常にリスクが高いと言わざるを得ません。
今、装置メーカーが取るべき対策
こうした状況下では、設計・発注のタイミングを見直すことが何より重要です。
- 設計段階から余裕を持ったスケジュールを組む
「必要になってから発注」では間に合わないケースが増えています。図面確定前の材料選定段階から、余裕を持った動きが必要です。 - 代替材質を事前に検討しておく
MCナイロン(青)が手配できない場合でも、用途によっては白色や他グレードで代替可能なケースがあります。特性を落とさずに切り替えられる選択肢を事前に把握しておくことが安心につながります。 - 信頼できる調達先に早めに相談する
在庫や仕入れルートを持つ加工会社に早い段階で相談することで、土壇場での「材料が無くて作れない」という事態を避けられます。
まとめ
半導体の活況は日本経済にとって喜ばしいニュースですが、その裏で一般の装置メーカーの材料調達には静かな逆風が吹いています。POM・塩ビ・PPの品薄、MCナイロン(青)の品薄傾向、そしてナフサ・中東情勢という原料リスク。これらが重なる今だからこそ、設計・納期には普段以上の余裕を持って動くことをお勧めします。
材料選定や納期でご不安な点があれば、樹脂切削加工.comを運営するケイプラビジョンまでお気軽にご相談ください。お客様の用途に合わせた最適な材質・調達方法をご提案いたします。
